化学繊維Ⅰ

化学繊維・人造繊維(Chemical Fiber/Man-made Fiber)

 

再生繊維(Regenerated Fiber)

再生繊維というのは、原料が植物繊維素、セルロースであり、これを再び繊維にすることからきている。
再生繊維には、レーヨン、キュプラ、リヨンセルなど3種類ある。
木材パイプや綿のごく短い繊維(コットンリンター)に含まれるセルロース(繊維素)を薬品でとかし、
それを繊維状に再生したものである。

①*ビスコースレーヨン(レーヨン【Rayon】, ポリノジックなど)

レーヨンの原料は木材パルプ。これからビスコースという粘稠な液体にし、これを細い孔のノズルから
押し出し繊維にする。レーヨンには、フィラメントとステープルがあるが、昔はフィラメントは【人絹】と呼ばれ、
ステープルは【スフ】と呼ばれていた。スフとは、ステープルファイバーを略したもので、短繊維という意味。
レーヨンは、吸湿性は綿よりも大きく、強力は綿や絹より弱く、しかも綿とは逆に、
湿潤時の強力が乾燥時の50-60%と低下する。レーヨンは、価格は安いが、しわになりやすい。

*ビスコース:レーヨンの原料であるパルプに、苛性ソーダと二酸化炭素を作用させて得られる
粘性のある液体。

②銅アンモニアレーヨン(Cuprammonium Rayon, *キュプラ【Cupra】)銅安法

原料は主に、コットンリンター(Cotton Linter)を使う。コットンリンターは、綿の種子に生えている
短繊維のことである。綿の種子から綿の長い繊維、リンとを取り去ると、
その根元に生えている繊維がコットンリンター。
キュプラは、レーヨンに比べ細い繊維を作ることができ、断面は円形、引っ張り強さ、乾強力に対する
湿強力の低下度、摩擦強さ、耐久性共にレーヨンより優れている。

*キュプラ:リンター・セルロースを銅アンモニア溶液に溶かし、湿式紡糸で繊維にしたレーヨンの一種。
ビスコースレーヨンよりしわになり難い。旭化成【ベンベルク】の商標がある。

③精製セルロース(リヨセル【Lyocell】)直接法

  1. レーヨンと同じ木材パルプを原料とするセルロース繊維であるが製法が違う。
  2. 木材パルプをアミンオキサイド系の溶剤で溶かして紡糸する。
  3. レーヨンよりはるかに強く、ポリエステル並みに強度がある。
  4. 洗濯による収縮がレーヨンより少なく、家庭洗濯で織物衣服の場合、収縮率3%以内である。
  5. レーヨンのような湿った時に特に弱いという欠点はなく、乾いている時も、
    濡れている時も強度はほとんど変わらない。
  6. リヨンセルは、一般的に染色加工などの工程で、フィブリル化(1本の繊維がさらに分割すること)
    するので、この繊維を使った商品はしなやかでソフトな、起毛したような風合いになる。

 

 




羽毛(Feather)

羽毛(Feather)について

特徴・特性

  1. 羽毛は、ダウン、フェザー、ファイバーの総称。
  2. 鳥類の体表を覆う上皮構造物。
  3. ダウン:小さな元羽軸とその先端部から派生した2本以上の羽枝からなる水鳥羽毛。
    幹羽軸がないも、幹羽軸が明瞭でないもの。
  4. フェザー:元羽軸、幹羽軸、羽枝をもつ水鳥、陸島羽毛。
  5. ファイバー:ダウン、フェザーの羽軸から分離した羽枝で、それぞれ1本の状態まで分離して
    いるもの。ダウンファイバー&フェザーファイバー。

使用方法

ふとん、衣料などの充てん物

 

 

 

 




絹(Silk)

絹(Silk)について

 

絹の細胞詳細

側面の特徴:滑らか。
断面の特徴:2本の繊維からなる。内側:フィブロイン 外側:セリシン 
        家蚕のフィブロイン繊維は三角形状が特徴

 

絹の特徴・性質

  1. 蚕蛾の繭から採取する。
  2. 飼育された家蚕絹が主流だが、柞蚕や天蚕からの野蚕絹もある。
  3. 美しい光沢と、吸湿性、染色性に優れている。
  4. 紫外線での黄変、脆化しやすく、また虫害を受けやすい。
  5. たんぱく質のフィブロインで吐出された繭糸は2本のフィブロインが水溶性の
    タンパク質のセリシンで固着されている。
  6. 精錬してセリシンを除去したものを練り絹という。

 

繊維の長さと太さ

絹(家蚕絹のブラン)12×10⁵~15×10⁵mm/ 10~13µm
*ブラン(brin)は、繭糸を構成する1本のフィブロイン繊維を指す。




毛 (Wool)

毛 (Wool)について

毛の細胞詳細        

側面の特徴:ウロコ片(スケールあり)
断面の特徴:ミクロフィブリルとその周りを囲むマトリックス状の物質で構成されている        

文章での説明より図がいいね。
ちょっと手書きで書いてみる。        

羊毛の構造
羊毛の構造

 毛の性質        

  1.   羊毛は、アミノ酸からなるケラチンというたんぱく質でできている。
  2. 毛の構造は、オルソコルテックスパラコルテックスが張り合わさった2層(バイラテラル)構造が見られる。
  3. この構造により、捲縮(クリンプ)の発現と関係している。クリンプとは繊維や糸の縮れた状態を表す。
    クリンプは、毛糸や毛織物に膨らみを持たせると共に、吸湿・乾燥により伸縮する性質が着用による
    しわの回復性に寄与している。
  4. 毛は、スケールにより、繊維の長さ方向の摩擦抵抗に異方性が生じ、羊毛の織編物が湿潤状態で揉まれると
    繊維が移動して絡み合い徐々に目が詰まる。この現象をフェルト化現象という。
  5. 羊毛は、はっ水性吸湿性の相反する性質を持っている。スケールが水をはじくが、
    スケールの隙間から水蒸気が吸収性に富むコルテックスへ吸収される。
  6. 毛は、ダメージを受けると破壊された表面が疎水性(はっ水性)が失われ、
    親水性に変わり、汚れやすくなる。




麻(hemp)

亜麻(リネン, linen) 苧麻(ラミー,Lame)について

  

細胞詳細

亜麻(リネン, linen)

側面の特徴:線条あり、節あり
断面の特徴:多角形、空中部あり
細胞の長さと太さ 25-30㎜/15-17µm

苧麻(ラミー,Lame)

側面の特徴:線条あり、節あり、先端鈍角
断面の特徴:へん平、楕円形、空中部あり
細胞の長さと太さ 70-280㎜/25-75µm

麻の性質

  1. 種類が多い。亜麻、苧麻、大麻、黄麻
  2. 麻は、植物の茎の靭皮から採取する
  3. 麻にも空中部があり、よじれはなし、横すじや節がある
  4. 引っ張り強さが大きく、伸びにくく、硬い繊維
  5. 湿潤強度が大であるが、染色性は綿より劣る
  6. 麻は吸湿性に優れ、肌に触れたときに涼しく感じる(春夏衣服に最適)
  7. しわになりやすく、染まりにくい
  8. 繊維が*フィブリル化しやすく摩擦により白化を生じやすい

 

 

*フィブリル化=一本の繊維がさらに分割すること