ニットは、英語の knit, knitting, knitted goods にあたる言葉で、「編んだもの」を意味している。また、編物、メリヤス、ジャージーなどと言われてきたが、編物は、手編みの物をいう。メリヤスは、機械編の物をいう。ジャージーは外衣用の編物を指す。ニットという用語はこれら編物、メリヤス製品全体の総称として使われる。
ニットの定義
布地は織物と編物の2つに代表されるが、織物はたて糸とよこ糸を相互に一定角度で直線状に交錯させて布地としたもので、編物は、1本又は2本以上の編糸で輪奈(わな、loop)をつくり、これに連ねて新しい輪奈を連続的に作って布地を編成するものをいう。糸を直線状に交錯させることなく、編目(loop)をつくる。連続的にこの基本動作を繰り返し布地を編成したものはすべてニットである。(ただ、一部のネット、漁網、レース、ひも類などは、その製品によってニットの範囲に入れず、別物と考える場合もある。)
ニットの種類
ニットは編機の急速な発展や消費者需要により、種類豊富になった。
>> 編成方法
>> 組織構造
1.手編機 (Hand knitting machine)
2.橫編機 (flat knitting machine)
3.コットン式編機 (cotton's patent frame)
4.靴下編機 (hosiery knitting machine)
5.台丸機 (latch needle plain fabric circular knitting machine)
6.トンプキン編機 (Tompkin's loop wheel machine)
7.吊機 (つりき、French circular frame)
8.フライス編機 (circular rib knitter)
9.両面編機 (circular interlock knitting machine)
10.トリコット編機 (tricot knitting machine)
11.ラッシェル編機 (raschel warp loom)
12.ミラニーズ編機 (milanese loom) 各種ミラニーズ生地を編成する。
13.その他。
緯編&経編
ニットには緯編と経編があり、この類別によって編成方法も異なる。
手編みの原理を利用して機械化した緯編と織物織布の理論を適応した経編とは同一の編機で編むことはできない。
並列した編み針に糸を90度の方向から供給し、ループを作らせ、縦に連綴させる緯編に対し、経編では、並列した編み針に対した編針に対し、糸を同方向から供与し、ループ編成をさせたのち、隣接するループに次々とつづらせていく。ここでは編針の使用組み合わせ方法、ゲージにも著しい相違がみられる。 緯編:平編、ゴム編、パール編の3元組織。
経編:開き目と閉じ目(シングル・デンビー編)を原組織として、その他さまざまな種類がある。主要編機は、トリコット編機、ミラニーズ編機、ラッシェル編機である。
透孔編、透かし目編、フィレット編、ニードル・ループ目移しともいう。 |
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フル・カーディガン編、ポルカ・リブ(polka rib)ともいう。 |
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ハーフ・カーディガン編ともいう。 平型橫編機の片側の下げカムの1つをタック位置にして編んだ片面タックのゴム編変形組織。つまりゴム編の片面にタック編を応用したもので、分厚な生地を売る場合に利用される。 編地の特徴:両畦編同様、ウェール方向に畝が走り、厚手の弾力性に富み、伸縮性があまりないことである。 編機:平型橫編機、フライス編機 編生地:フライス生地、テレコ生地 用途:靴下、シャツ、セータ、ジャージーなど |
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シンカ・ループ目移しともいう。 |
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ペレリン編などを用いて、編地に小穴をあけた組織。 |
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スムース編(circular interlock knitting)、両面スムース編、インターロック(interlock)、
メリディアン(meridian)、ダブル・リブ(double rib)、二重ゴム編(double rib)ともいう。 2つのゴム編を腹合わせにしたゴム編変化組織。フライス生地(ゴム編)のヴェールの間に、いま1つのウェールが介在する組織である。基本的には、長短2種類のバットを持った有りで編成し、2口の糸で1コースを完成するもので、第1の糸を上針の奇数番目のものと下針の偶数番目の物とによって編む。この変化組織には、2×2ゴム編を重ねたエイト・ロック(eight lock)がある。また3組以上のゴム編を組み合わせたり(多衝程両面)、タック、ミス、ニットを組み合わせ応用することにより各種の変化組織(針抜き、タックを併用したもの、パール編、浮き編、レース編、添え糸逆転編、パイル浮かし添え糸編、ゴム糸挿入など)をうることが出来る。 編機:インターロック編機、スムース編機といわれる円型両面編機を使用。 編生地:裏表ともに一見平編のように見えるなめらかさを持ち、同一構成であるため、緻密、重厚、堅牢である。適度に伸縮性を押させており、弾力性に富み、捲れることがなく安定している。 |
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ダブル・ジャージー、ダブル・ニットともいう。 |
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ダブル・ニットともいう。 |
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ショッキング、ラッキングともいう。 |
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編針を適当な位置で抜いて編んだ組織。ゴム編の応用組織で、片側編針だけを針抜きにするものと、両側の針床で針抜きをするものがあり、針抜きにしたところはループが形成されず編地は縦縞となる。各組織と併用して柄編の変化を出し、2×2ゴム編から1×1ゴム編に変換する場合のように組織変換するときにも用いられる。 |
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パイル編、プラシ編、ビロード編ともいう。 |
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フリース編(fleecy stitch)、プラシ編(plush stitch)ともいう。 |
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プレーティングともいう。 |
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刺繍編、エンブロイダリングともいう。 |
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橫編機で、2種の針を使用して1方の針が平編をし、他の針がタック編をし、鹿の子柄、亀甲柄を表したもの。つまり高バット針と低バット針にタック編をさせ、蕾形やパイナップル状のふくらみを変化柄組織である。なおラーベン・パイル編は、パイルの柄編をしたもので、ラーベン編の変形組織。編地は、鹿の子柄や亀甲柄を鮮明に表し、もっとも美しい緯編の1つとなっている。 |
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なわ編ともいう。 |
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種々の色彩のダイヤモンド形の模様を編み込んだ柄編。 |
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変化トリコットともいう。 2組の経糸のうち、前筬の経糸にシングル・デンビー編みをさせ、後筬の経糸にシングル・コード編をさせた経編2重組織。2枚筬の1列針編機によって編成されるトリコット編の1種。サテン編の変形組織で、前後筬のラッピングが全く逆となる。ただこの場合、後筬のシングル・コード編は、1×4のラッピングとなる。編地は、表面に長い浮き糸が出来るが、デンビー編地にだかれて、厚地の安定性がある生地となっている。伸縮性が少ないので、裁断加工に適し、保温性に富み実用的。 編機:シングル・トリコット編機が使用され、トリコット生地を編成する。 用途:編物分野にも及ぶ広範囲な用途をもつ。各種肌着類、ジャージー、ワイシャツ。 |
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アメリカン・シャークスキンともいう。 2組の経糸のうち、前筬の経糸に鎖編をさせ、後筬の経糸にシングル・コード編をさせた経編2重組織。2枚筬の1列針編機によって編成されるトリコット編の1種。裏面には連続同一針によって編成され、表面には1×2ないし、1×2以上のラッピングが施される。編地は、厚地で弾力性がなく、極めて安定度が高い。伸縮性が少ないため、裁断加工に適し、機械捺染に好適である。 編機:シングル・トリコット編機 編生地:トリコット生地、アメリカン・シャークスキン 用途:織物分野にも及ぶ広範囲な用途をもつ。各種肌着類、ジャージー、家庭装飾品、テトロンとナイロン混紡の後染柄ワイシャツ生地には定評。 |
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1×1アトラス、1×2アトラス、サテン・ミラニーズともいう。 2組の経糸が、反対側に数コース、トラバース編された経編2重組織。2枚筬の1列針編ミラニーズ機によって編成される。イタリアのミラノで発生したアトラス編の応用組織であるが、アトラス編のようにジグザグのトラバース・ラッピングはせず、1組の糸が左方向に下方に進み、他の糸が右方向に、共に連続的に進み、斜めの2組のループが裏面で交叉して菱形の柄を作り、表面に美しい畝が入る。色糸を配して種々の柄、模様をうることが出来る。なおこの組織は、編機の種類によって3種類に分けあれる。1は円型ミラニーズ機の1衝程式によるもので、シンカ・ループが90度に交叉し、ダブル・デンビー編と似た外観になる。2は、2衝程式によるもので、シンカ・ループは交叉しない。1,2はともに、1×1アトラスと称される。3は、平型ミラニーズ機によるもので、サテン・ミラニーズともいわれ、ループは1×2のコード・ラッピングをし、ダブル・コード編と酷似する。編地は、バイアス方向に伸縮性が大きく、衣料の理想とされる。堅牢、厚地で、安定性も高く、ニットの王様と称される。また各種の柄、縞、模様に恵まれ、美しい外観を持つことが出来る実用記事である。 編機:フラット・ミラニーズ編機、サーキュラ・ミラニーズ編機 編生地:ミラニーズ生地 用途:各種肌着、手袋、セータ、カーディガン、各種ジャージー、装飾品 |
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遊びのスイングともいう。 |
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ストレッチ・ニットともいう。 |
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プラシ編、立毛編、ビロード編ともいう。 |
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引き上げ編ともいう。 |
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模様編ともいう。 |
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変り柄編みともいう。 |
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フリース編、プラシ編、裏毛経編ともいう。 |
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3組の経糸のうち1組の経糸を他の2組によって作られるアトラス編目の中間に編み込まず、裏に浮かせた組織。3枚筬の1列編機によって編成される重ね変り編。前後筬でアトラス編をし、これを地組織として、中筬で裏毛糸をシンカ・ループにからみつけて編成する。 編地:厚地で安定性がある。保温性に優れている。 編機:シングル・トリコット編機、シングル・ラッシェル編機 編成生地:裏毛メリヤス、トリコット生地 用途:実用外衣 |
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透孔編(Lace Stitch),透かし目編、フィレット編ともいう。 |
■編物の種類:
緯編生地 平編変形組織
リブ編変形組織
両面編変形組織
パール編変形組織
経編生地 トリコット
ラッセル
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